【白墨人形】C・J・チューダー ★★★★

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 スティーブン・キングの【スタンド・バイ・ミー】の明瞭なオマージュ、と宣言してもいいだろう。イギリスの女性新人作家(約47才)C・J・チューダーの【白墨人形】を読んだ。前から読みたかったがいつものように、格安な文庫本、しかもそれがある程度古本としてさらに安くなってから買おうと思っていたが、読みたい本に限ってなかなか文庫化されない、という例に漏れず、待っても待っても文庫化されないので、業を煮やして、ついに夏目書房というところから送料込み1360円で購入した。新品値段は2250円+税だから約半値ぐらいか。今確認したらAmazonでは送料込みで1078円で買えるようなので、ちょっと早まったかな。読み始めから引き込まれ最後まで興味が尽きること無く読み切ったので、まあ良しとしよう。

 イギリスの田舎町に住むエディ(姓がアダムスなのでアダムスファミリーに因んでエディ・マンスターと呼ばれている)は、ファット・ギャヴ(でぶの親分格)、メタル・ミッキー(歯に矯正金具をつけたクール系)、ホッポ(シングルマザーの母親が掃除婦をしている)、ニッキー(牧師の娘で唯一の女の子なのであだ名では呼ばない)の4人の仲間と毎日自転車を乗り回し、ちょっとした悪さや冒険をして12才の夏を過ごしていた。
 その夏、移動遊園地が街にやってきた。エディ達はすくない小遣いをかきあつめて遊園地に集合した。そこで起こった悲惨な事故、エディも憧れる美しい少女が遊具の故障で無残にも顔を激しく傷つけられ瀕死の重傷を負うという事故の現場で、エディが知り合ったのは学校の臨時教員として街にやってきた、アルビノで青白肌のミスター・ハローラン。
 その夏から秋にかけてエディ達の仲間で流行ったのが、色つきチョークでアスファルトや仲間の玄関先に棒人形を書きのこすという遊びだ。その棒人形には仲間だけがわかる、どこどこに集合とかの秘密のメッセージを含ませてあるのだ。
 例によっての、恐ろしく暴力的な年上の不良集団とのちびってしまうようなせめぎ合いなどがある日々に、エディ達が遊ぶ森の奥から少女のばらばら死体が見つかった。あちこちに置かれたその死体からはなぜか頭部だけが見つからない。
 一方、ミスター・ハローランは先の顔に醜い傷跡が残った少女を度重なり見舞いに行くうちに、年の離れた恋人同士になったらしい。また、唯一の女子の仲間、ニッキーにはときおり不審なあざが見られ、本人は転んだとかの言い訳をするが、何か別の事があるらしい。
 エディが12才だった1986年の日々を綴るかたわら、それから30年後の2016年での仲間の話も併行して語られ、やがて事件の真相が徐々に浮かび上がってくる。

 出だし、【スタンド・バイ・ミー】そのもので動いてきた物語は、悲恋と非道を暴く謎解きのサスペンスへと変貌していく。【スタンド・バイ・ミー】のオマージュではありはするが、これはれっきとしたサスペンスでありホラーでもある。最後があまりに怖いのだ。
 けだし、「まったく!」の感がある、本文中の名文を最後に引用しよう。
 『子供のころは友達が世界そのものだ』

 
 
 
 

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