【容疑者】ロバート・グレイス ★★★

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 アメリカ探偵作家クラブ生涯功労賞を受賞したロバート・グレイスという人の、犬と人間の”絆”を描いたサスペンス【容疑者】を読んだ。
 アフガニスタンで爆発物探知犬として役についていたマギー、メスのジャーマンシェパード40Kgの大型犬は、ハンドラーで相棒であるピートと共に部隊の先頭に立って爆発物を探知しているさなかに、突然の敵の攻撃に見舞われた。銃撃戦でピートは死に、マギーも重傷を負った。相棒であり仲間であるピートを失ったマギーは牙を剥きうなり声を発して、ピートに近寄る者達を威嚇するのであった。
 一方、ロサンゼルス市警のスコットは相棒ステファニーと下町をパトロール中に、強殺グループの銃撃戦に遭遇し、相棒ステファニーを失い、自らも生死を彷徨う重傷を負った。
 そして数ヶ月後、共に、ペアとなる相棒を失い、また突然の大音量に怯え、いやされぬPTSDを抱えるジャーマンシェパードのマギーとスコットは、市警の警察犬隊で巡り会うこととなる。銃撃戦による怪我の後遺症が残りPTSDをも抱えるマギーを不安視する上司は、マギーとコンビを組むことに良い顔をしないが、スコットは、自らも怪我の後遺症とPTSDに悩みながらも、マギーとコンビを組むことを強く希望する。マギーを家に連れ帰り、いつも一緒の生活を始めた一人と一匹は徐々に相手に対する信頼と忠誠を育むようになる。
 一方、スコットの相棒ステファニーが死ぬこととなった強盗団に関する捜査が進まぬ中、この事件の担当刑事が変わり、スコットは改めて捜査の進展に協力することになった。
 こうして、警察犬ハンドラーのスコットと警察犬マギーのコンビは徐々に事件の背後に潜む巨悪を明かすための活躍をはじめる。

 犬と人間との友情の物語は、私のような年代の者はリンチンチンを思い出す。それぞれ年代により思い入れの深い物語があると思う。本作では人間であるスコット側の視点での進行の合間に、犬であるマギー側の視点からの挿話が随所に入り、犬という動物の忠実で仲間を守り抜くという性質をよく説明している。作者は犬をよく書く、といくわけではない。ハードボイルド・サスペンス・ミステリ系の著作を多数出している。本作は本国で2013年の刊行だというが、続編もありかと思う。
 

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