【贖罪の街】マイケル・コナリー ★★★

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 【贖罪の街】という題名に釣られて、なんやらとってもすんごいヒューマニズム的な事がかいてあるのかなと思ってコナリーを読んだ。原題は【The Crossing】なので、どうしてこの原題が邦訳の題名になるのかと、ちょっと詐欺にあったかんじ。元刑事が被告の弁護士側の調査員となって被告の無実を晴らす、という内容だが、題名の”Crossing”とは、容疑者を罪に問う警察や検察側の陣営から、容疑者の罪を否定しようとする弁護側の陣営へと180度態度を変える事、言ってみれば”寝返り”の事を、アメリカの刑事・法曹界ではこういうらしい。だから、本書の肝心なテーマはまさにこの”Crossing”であり、その意味に先ほどの”寝返り”だけでなくいろいろな”交差”を多重的に含めて物語を進行させるところにある。それなのに邦訳だと【贖罪の街】となる。これでこの本の内容をいささかでも象徴させようとしたのだとすれば、やっぱ詐欺でしょ。実際に本の内容に”贖罪”みたいなニュアンスは全然無いし。
 まあ、サスペンス小説としてはまさに教科書的で、まったく飽きること無く、最初から最後まで面白く読めた。法廷シーンあり、サスペンス、危機一髪、友情、義理、正義感、悪徳、残虐、憤怒、そして多少のロマンス。まあAIが書いたらこういう小説を書くのだろうと思う。
 従って、内容は省略。しかし面白かったからいいか。

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